本文へスキップ

コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

グエットさんの死体遺棄被告事件控訴審第一回公判報告

 

 2025年6月25日  中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

 2025年6月23日、あいにくの雨のなか、門前集会に40名が参加、傍聴券は、36席に対して46名がならびました。 マスコミの頭撮りは、ありませんでしたが、一般傍聴席は満席、司法記者席10席には9社が傍聴しました。

 控訴審第一回公判は、グェットさんへの人定(氏名・住所・国籍・職業などの確認)後に、弁護人側提出の証拠の陳述、主任弁護人の池上弁護士が、控訴趣意書の要約を15分ほど説明、検察官は、「控訴棄却が相当である、詳細は、8月1日までに答弁書で回答する」と答弁し、弁護人から追加(妊娠出産体験者から)の意見書を近日中に提出する、これについても、検察官から答弁書で回答する旨の発言がありました。

 福岡高裁刑事第3部の平塚浩司裁判官裁判長から事前の三者協議で話したとおり、第2回公判を20215年9月12金曜日午後2時から、同じ1013号法廷で開く、その時、弁護人から提出された証拠や弁護人からの事実取り調べ請求書について採否を決定するとして、20分ほどで閉廷となりました。 (正式決定の表明はありませんでしたが、次回の2回目公判で、被告人グエットさんの尋問が行われる予定です。)

 閉廷後、午後3時30分から、弁護士会館2階ホールで、報告集会を、会場参加約50名・オンライン参加18名の参加で午後5時までおこないました。 報告集会では、池上主任弁護人から、控訴趣意書の要旨の解説と6月10日の公判前の三者(裁判官、検察官、弁護人)協議の内容、控訴審の今後の進行などについて説明がありました。 刑法学者として意見書を提出していただいた福永西南学院大学教授より、グエットさんの一審判決の批判、死体遺棄罪について無罪主張の根拠の説明などがありました。 そして、被告人のグエットさん自身が、報告集会参加者へ向けてアピール文を日本語で読み上げました。 そして、妊娠出産体験者からの11通の意見書を提出していただい方の中から、報告集会に参加されていた方からの連帯の発言がありました。 その後、グエットさんを逮捕直後から支援してきた、アジアに生きる会・ふくおかの井上幸雄さん、外国人技能実習生権利ネットワーク・北九州から本村真さん、コムスタカー外国人と生きる会の海北由希子さんの連帯発言、会場からの数名の方からの質疑応答をしました。 なお、この報告集会では、会場参加者から寄付金訳18000円があつまりました。 (※2025年6月23日控訴審第1回公判後の報告集会は、後日YouTube 公開する予定です)

グエットさん死体遺棄被告事件控訴審第2回公判

時   2025年9月12日 (金曜日)午後2時から

所  福岡高等裁判所10階1013号法廷

グエットさんからの2025年6月23日 控訴審第一回公判終了後の報告集会参加者へむけたアピール文

 私の無罪の主張のため、皆さんが支援してくださって、心より感謝申し上げます。 私の無罪の主張は、一審福岡地裁では認められず、大変残念です。 私は、子どもの遺体を捨てたり、隠したりしていません。 この判決には納得できなかったので、高裁裁判所へ控訴しました。 本日の第1回公判で裁判が終わらず、次回の第二回公判で、私が裁判所で証言することになりました。 裁判官に私の声が届くように頑張ります。 そして、無罪を実現したいと思います。 私自身と孤立出産する外国人女性や日本人女性のためにこれからも応援よろしくお願いします。

2025年6月23日
グエン テイ グエット(NGUYEN THI NGUYET)

コメント(中島)

 2025年3月7日福岡地方裁判所(鈴嶋晋一裁判長裁判官ら3名の裁判官 全員男性)の有罪判決は、検察官の主張する死体遺棄罪の「隠匿」に該当するとして、検察官の求刑通りの「懲役1年6ヶ月、執行猶予3年」の有罪判決を宣告しました。 これに対して同年3月14日控訴してひらかれた福岡高裁(刑事第3部 平塚浩司裁判官裁判長ら3名 全員男性) のグエットさんの控訴審は、異例の展開になっています。

 20025年3月24日最高裁で逆転無罪判決が宣告されたリンさんの死体遺棄被告事件では、控訴審の福岡高裁は、控訴趣意書の提出期限を通知し、期限内に弁護人らが控訴趣意書を提出しました。 そして、多くの刑事裁判の控訴審の進行と同様に、控訴審第一回公判で即日結審し、弁護人らが提出した証拠や証人申請はすべて棄却され、判決も死体遺棄罪「放置」については原判決を破棄しましたが、死体遺棄罪の「隠匿」に該当するとして、懲役3月、執行猶予2年の減刑した有罪判決を宣告しました。

 これに対して、グエットさんの控訴審は、第一回公判期日前に三者(裁判官、検察官、弁護人)の事前協議が行われ、裁判官は、検察官に弁護人の控訴趣意書への答弁書を2025年8月1日までに提出を求めました。 そして、第一回公判期日6月23日で結審せず、2025年9月に第二回公判を開くこと、5月16日の控訴趣意書提出期限後にも、弁護人からの妊娠出産体験者の意見書の提出も認める、弁護人提出の証拠やグエットさんの尋問を含む事実取調べ請求に対しても、検察官の答弁書や回答を踏まえて第二回公判で判断することになりました。

 グエットさんの刑事裁判は、2023年3月24日のリンさんの死体遺棄事件最高裁逆転無罪判決を意識し、死体遺棄罪の「隠匿」をめぐる判断の枠組み内で検察官と弁護人双方の争いとなっており、最高裁まで争われる可能性が強い事件といえます。 このような福岡高裁の控訴審の進行やその意図について、以下のような3つの予測をすることができます。

  1. 弁護人側の主張を丁寧に聞いた審理を行ったという形式を整えるだけで、控訴を棄却し、一審判決を肯定する有罪判決となる。
  2. 死体遺棄罪の「隠匿」の成立を認めるが、懲役1年6月の量刑部分のみ一審判決を見直し、減刑する判決となる。
  3. 死体遺棄罪の「隠匿」に該当しないという無罪判決となる。
以上の3つのいずれになるか現時点では判断できません。 しかし、2025年6月23日の控訴審第一回公判で結審せず、判決まで今後5~6ヶ月時間的猶予が与えられたことを活かし、無罪判決実現へ向け今後とも主体的にできることに取り組んでいきたいともいます。 そのためには、裁判官に、死体遺棄罪(「隠匿」)を、以下の3つの視点①「現代の奴隷制度」といわれる外国人技能実習制度の過酷な労働環境のもとで、妊娠出産する外国人技能実習生の視点、②男性の支配的価値観の下でなく、当事者となる孤立出産する女性や妊娠出産する女性の視点で、③ベトナムや諸外国の死体遺棄の扱いという国際的視点で、見直し再評価させることです。

※グエットさんの無罪判決へ向けた勉強会(オンライン)や学習会を企画して下さい。

以下のリンクから グエットさんの無罪判決へ向けたオンライン勉強会を視聴できます。

○2025年6月14日開催、オンライン勉強会(控訴審段階 )

「孤立死産の後死体遺棄罪で起訴されたベトナム人技能実習生グエットさんの控訴審無罪判決に向けた勉強会~なぜグエットさんは無罪となるべきか~」
講師  石黒 大貴弁護士(グエットさん刑事裁判弁護団弁護士)
https://youtu.be/xP19zcmnslg

○2024年11月19日オンライン勉強会( 一審段階)

「孤立死産の後死体遺棄罪で起訴されたベトナム人技能実習生グエットさんの無罪判決に向けた勉強会~なぜグエットさんは無罪となるべきか~」
講師 池上  遊弁護士(グエットさん刑事裁判弁護団主任弁護人)
https://www.youtube.com/watch?v=1WUWJR8NqoI

控訴趣意書要約

グエットさん支援のための署名・寄付のお願い

グエットさんの無罪を求める署名活動と、支援のための寄付をお願いしています。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

shop info店舗情報

コムスタカ―外国人と共に生きる会

〒862-0950
熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302
須藤眞一郎行政書士事務所気付
groupkumustaka@yahoo.co.jp