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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

リンさん刑事裁判控訴審第一回公判と傍聴行動などの報告

2021年11月12日
中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

 リンさんの無罪署名は、紙署名 5294、インターネット署名 42486筆 合計4万7780筆分を午前11時30分に石黒弁護士、裁判を支援する会の山下さん、コムスタカの私の3名で福岡高裁刑事部事務局あてに提出しました。
 午後12時15分から30分までの、裁判所外の門前集会は、約60名の参加で、石黒弁護士の控訴審への決意、山下さんから署名提出の報告を行いました。
 そして、午後12時40分から13時まで、裁判所南口玄関での傍聴券配布のための抽選には、約90名を超える希望者が並びました。 一般傍聴席はこの日は36席でした。 午後1時に当選番号が記入され、当選できた人が傍聴券をもらって10階1015号の法廷へ移動しました。
 冒頭2分間のテレビ撮影があり開廷しました。 リンさんへの人定質問(氏名、生年月日、住所、国籍などの確認)・宣誓をへて、弁護側から主任弁護人の石黒弁護士が控訴趣意書の口頭要約を日本語で5分、通訳者がベトナム語で5分話をしました。 弁護側の2人の刑法学者の意見書や、3人のベトナムの専門家の意見書、技能実習生問題の私の意見書と証人申請など証拠調べを求めました。 検察官(1名)は、「控訴の棄却を求め、弁護側の証拠すべてに不同意、証人調べも必要なし」という意見を述べました。 高裁の裁判官(3名)の訴訟指揮が注目されましたが、辻川裁判長は、弁護側の求めた証拠調べと証人申請を「必要なし」と判断し、即日結審、判決日を2022年1月19日(水曜日)午後2時から、1015号法廷と指定し、第1回公判は約20分で終わりました。
 公判終了後、午後2時から午後3時30分まで、福岡県弁護士会館2階ホールで記者会見兼裁判報告集会を開催しました。 当初60名分しか資料を用意していませんでしたが、マスコミ関係者(福岡県内 テレビ3社、新聞5社、熊本県内 テレビ4社、新聞2社、フリーライター数名)を含めて100名を超える参加がありました。 弁護団を代表して石黒弁護士の控訴趣意書の説明、公判報告、リンさんの自己紹介と支援への感謝、「自分のしたことは、子どものへの愛情からしたことで、無罪です。」との表明、裁判を支援する会の共同代表 成毛さんと山下さんから署名運動の取組みと高裁への提出報告、今後も継続して署名を集めていくことが報告されました。 その後、1時間ほどマスコミ関係者からの質問と回答、支援者からの発言を受けて閉会しました。


コメント(中島)

 注目されたリンさんの死体遺棄罪刑事裁判第1回控訴審は、2021年7月20日熊本地裁での有罪判決以降、2カ月間をかけて、弁護団は、心血を注いで、多くの専門家(刑法学者の方々、弁護士、ベトナムの専門家)などの協力を得て作成した控訴趣意書(46ページにわたる)を2021年10月6日に提出しました。 原審判決を批判し破棄無罪を求めるため証拠調や証人申請を控訴審で求めましたが、第1回控訴審公判で、福岡高裁の辻川裁判長は、検察官の主張通り、「証拠調べも証人調べも必要なし」として却下して、即日結審して判決言い渡しを2022年1月19日(水曜日)午後2時と指定しました。
 この結果、高裁判決は、弁護人側の控訴趣旨書のみでの判断されることとなり、無罪判決の可能性は残りつつも、裁判長の訴訟指揮から見て、2022年1月19日の控訴審の判決は、「控訴棄却」の敗訴判決も十分予想されます。 改めて、日本の刑事司法の「厚い壁」を実感させられました。
 リンさんの死体遺棄罪事件の原審判決は、@ 死体遺棄罪で、「私的埋葬」という実行行為のない「準備行為」を犯罪として有罪とする初めての判決であること、A 死体遺棄罪の有罪判決で、死産した遺体から離去(立ち去る)ことをしていない事件で有罪判決の例がなく(唯一の例外 名古屋高裁金沢支部の「年金詐欺事件」 母親の年金を死後も継続給付受けるため母親の遺体を1年8カ月間放置していたケース)、リンさんのわずか1日ほどの短期間で有罪とする初めての判決であることなど、極めて問題のある判決です。 弁護団が提出した控訴趣意書は、法的論理からも十分逆転無罪判決を導くことが可能です。
 私は、これまでリンさんの刑事裁判で無罪判決を勝ちとるためには、「@原審判決を批判する法的論理の正当性  A 検察官が起訴したら、裁判所も追認して99.8%以上有罪となるこの国の刑事司法に挑むには、この事件の問題を訴え、世論をかえる運動が必要である」という2つを主張してきました。
 第1回控訴審公判の結果から、改めて「法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)」の枠内だけで争っていても、「無罪判決」を得ることは期待できないことを思い知らされました。 控訴審の判決日まで約2カ月間の時間があります。 リンさんの刑事裁判の問題は、1審判決までの熊本県内の地方の問題から、その後、急速に全国的な問題として支援が広がってきています。 無罪署名が2021年10月から実質1カ月間と10日ほどで4万8000名を超えていること、第一回公判への傍聴希望者90名を超えて集まり、また、公判終了後の記者会見と裁判報告集会にも100名を超える人々が集まりました。 ベトナム人技能実習生(22歳)の女性の「私は無罪です」という主張は、日本社会の中で大きな支持の広がりを作り出しつつあります。 残り2ヶ月間に高裁の裁判官を動かすような「リンさんに無罪の判決」を求める大きな世論のうねりを作り出していくとで、「無罪判決」への道は開けていきます。 (高裁の裁判官が恐れるのは、最高裁で否定される判決を書いてしまうことです)、また、仮に2022年1月19日の控訴審判決で敗訴しても、最高裁で「逆転無罪」を実現していく可能性は開けてくると思います。

控訴趣意書(口頭要約)

リンさんの無罪判決を求める署名のお願い(二次集約)

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