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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-302

須藤眞一郎行政書士事務所気付

福岡入管との意見交換会Meeting with Fukuoka Immigration

第23回 移住労働者と共に生きるネットワーク九州と福岡入管との意見交換会報告
(技能実習生の妊娠・出産に関する質問と回答)

中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

はじめに

 移住労働者と共に生きるネットワーク・九州と福岡出入国在留管理局(以下、福岡入管)との第23回意見交換会は、新型コロナウイルス感染拡大のため、はじめて対面ではなく文書での質問と回答のやり取りとなりました。
 今回は、「T 技能実習生の妊娠・出産問題について」、「U 入管業務について」「V 2019年改定入管法」、「W 技能実習制度について」、「X 新型コロナ対策ウイルス感染対策」、「Y 統計数値」について2021年2月16日に全部で60項目の質問を提出しました。 これに対して、福岡入管から2021年3月24日に文書での回答がありました。

 なお、質問と回答の詳細は、移住労働者と共に生きるネットワーク・九州のホームページをご覧ください。
https://snwm-netwrokkyushu.jimdofree.com/

 以下、福岡入管への質問と回答のなかで技能実習生の妊娠・出産に関する質問と回答を報告します。

技能実習生等の妊娠・出産について

【質問】
妊娠・出産の事実を誰にも相談できない技能実習生について 2019 年3月 11日の通知以降も、解雇や帰国させられることを恐れて、妊娠したことを誰にも相談できず、日本で出産(死産を含む)などし、死体遺棄罪などの刑事責任に問われる事案が相次いでいます。 この背景には、技能実習生の妊娠が明らかになると、監理団体や実習実施者が、中絶させたり、強制帰国させたり、自己都合を装って帰国をさせたりするケースが後を絶たないことがあります。 技能実習生が妊娠や出産しても、日本人と同様に日本の労働関係法令で保護されることの周知徹底し、技能実習生の刑事事件が起きないためにも、下のアからオについて、貴局の施策をご回答ください。
ア 技能実習生への周知徹底について
イ 監理団体や実習実施者への周知徹底について
ウ 妊娠したことで解雇や帰国させようとする監理団体や実習実施者への処分について
エ 技能実習生の途中帰国者に対して、空港など帰国時に、妊娠による強制帰国の有無の確認や保護について
オ その他の施策について

  

【回答】
ア 技能実習生が新規入国する際には、空海港で外国人技能実習機構が作成している技能実習生手帳を配布しており、この手帳の項番12(2021年1月第5版現在) に「技能実習中に結婚・妊娠・出産などした場合」において、妊娠・出産した場合に認められる主な権利などを案内しています。 なお、技能実習生手帳は、2021年1月現在、9か国語(中国・ベトナム語・タ ガログ語・インドネシア語・タイ語・カンボジア語・ミャンマー語・モンゴル語・ 英語)で作成されており、同月、項番12の記載内容を充実させたものに改訂され ています。

イ 監理団体や実習実施者へは、平成31年3月11日付けで、当庁(当時は局)、厚生労働省(海外人材育成担当参事官室)及び外国人技能実習機構の連名で、「妊娠等を理由とした技能実習生に対する不利益取扱いについて(注意喚起)」の通知を外国人技能実習機構HPに掲載して周知しています。 また、本年2月16日付けで、同じく連名で、妊娠等した技能実習生への対応についてさらに具体的内容を追加した「妊娠等を理由とする技能実習生の不利益取扱いの禁止の徹底及び妊娠等した技能実習生への対応について(注意喚起とお願い)」の通知を外国人技能実習機構HPに掲載し、周知徹底を図っています。

ウ 機構の実地検査の結果、妊娠したことで技能実習生を解雇や帰国させたなどの法令違反のおそれを把握した場合は、関係機関とともに実習実施者等に対し必要な指導を行うこととしており、事案に応じて、技能実習計画の認定取消しや、監理団体許可の取消しの対象となり、これらの行政処分等を受けた場合には欠格事由に該当することとなるため、行政処分を受けて5年間は新規の技能実習生の受入れや監理事業を行うことはできなくなります。

エ 技能実習生の途中帰国者に対しては、空海港で出国する際に、入国審査官が書面 を用いて「出国の意思確認」を行い、その意に反して帰国させられようとしていないかについて確認しているところ、出国意思の確認に当たっては、入国審査官が、監理団体等の関係者の立会いのないところで、直接、技能実習生本人に対して、当該技能実習生の母国語で作成した「意思確認票」を用いながら、帰国するに至った経緯等も含めた詳細について、その心身の状況やプライバシーに十分に配慮しつつ、 丁寧かつ慎重に手続を実施しているところであり、これにより、出国間際の最終的な局面でも技能実習生の強制帰国を防止する手立てとしています。 強制帰国の疑いがある場合で、当該技能実習生が出国を望まない場合には、当局は出国確認を行わないこととしています。 また、当該技能実習生の所属する監理団体や実習実施者に対して、当該技能実習生に対して適切な対応を取るよう指導するとともに、外国人技能実習機構へ情報提供しています。

オ その他、在留審査等において、妊娠・出産等の事実が明らかになった技能実習生については、監理団体や実習実施者に当該技能実習生に対して適切な対応を取るように指導しています。

 

【コメント(中島)】
 以上のア〜オの回答にあるように、妊娠などに関する技能実習生の不利益取り扱いを防ぐ対策をとっていると言葉の上では回答がなされています。 しかし、例えば、エの技能実習生の途中帰国者への出国時の意思確認件数は、2019年約18600件(うち申告件数は12件)、そして2020年は、出国時の確認件数約11000件(申告件数1件)と回答しています。 つまり、出国時の途中帰国の技能実習生への意思確認は行われていても、申告する技能実習生は少なく、これが救済手段となっていない現実があります。 2021年以降の現在も、監理団体等から妊娠を理由に強制帰国される例や子どもを孤立出産し、死体遺棄罪等で逮捕されているケースなど後を絶ちません。 入管や外国人技能実習機構の文書による通知や指導だけでは、技能実習生の妊娠出産問題の実質的な救済にはなっていません。

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