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コムスタカ―外国人と共に生きる会 Kumustaka-Association for Living Togehte with Migrants

〒862-0950 熊本市中央区水前寺3丁目2-14-402

須藤眞一郎行政書士事務所気付

平成30年度 熊本県DV対策関係機関会議報告

中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

 2018年5月30日午前10時から12時まで、熊本県庁2階新館201会議室で、熊本県DV対策関係機関連絡会議(熊本県内52機関、約50名参加)が開かれました。@熊本県行政関係機関(県子ども家庭福祉課、女性相談センター、男女共同参画・協働推進課、精神保健福祉センター)の活動・相談状況報告等、A医療及び民間サポート機関5団体のDV被害者支援の現状報告、B熊本地震関連の取組み、C意見交換会と質疑応答(Cは非公開)が行われました。

「熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業」について


 @の報告のなかで、熊本県子ども家庭福祉課から、2017年度(平成29年度)から始まった「熊本県DV被害者総合支援・加害者対応モデル事業」(1、事業の背景、2、事業の方向性とスケジュール、3、対応の流れ、4、取り組みの内容、5、今後のめざす姿)の報告がなされました。 2017年度(平成29年度)は、コムスタカー外国人と共に生きる会が受託団体となり、加害者宅へ戻った被害者、加害者と同一生活圏で暮らす被害者への支援を対象としたケースに直接支援を行いモデル事業に基づく手順書を作成提出しました。 @被害者のエンパワーメント、A加害者への抑止、B被害者支援の関係機関相互の意思疎通の向上と連携の強化という成果が見られました。 2年度目となる2018年度(平成30年度)は、モデル事業で得られた手順書などを参考に、2018年度(平成30年度)に「DV被害者総合支援ガイドライン(仮)」(加害者対応も含めた、DV被害者の在宅見守り支援のノウハウをまとめたもの)を検討・作成します。 また、ガイドラインに基づく実践(体制・実施内容)の検討、2019年度(平成31年度)に関係機関にガイドラインオーソライズ、2020年度(平成32年度)からの本格運用に向けた準備(ガイドライン完成、体制整備、研修計画)というスケジュールとなっています。

 また、熊本県は、平成30年度中に策定される第4次熊本県DV防止及び被害者保護基本計画の案文においても「4、被害者の安全・安心を実現する保護体制の強化(4)地域での被害者を支える体制の強化5、関係機関・団体等の連携による支援の充実(2)加害者への対応に対する取り組み」が、新たに加えられています。

 コムスタカは、民間団体の一つとして、2017年度のDV被害者支援の取り組みを4分以内で報告しました。また、以下のような質問と要望を提出しました。 以下、その回答です。

2018年度(平成30年度)DV対策関係機関への質問と要望(下線部は新規の質問)

1.熊本県女性総合センター
質問1

 2017年度(平成29年度)「外国籍の相談者(うちDV相談)による電話相談、来所相談、一時保護件数、及び外国籍の相談者のための通訳派遣回数」を教えてください。

昨年度の回答
 平成28年度外国人による電話相談21件(DV17件)  来所2件(DV2件) 一時保護 外国人2件  通訳派遣0件

2017年度(平成29年度)の回答
 平成29年度外国人による電話相談9件(DV6件)  来所1件(DV1件) 一時保護 外国人1件  通訳派遣0件


質問2
 平成29年度のステップハウスの運用状況(前年度から継続入居状況、新規入居状況、退去者数を教えてください。

昨年度の回答
 入居継続、新規入居とも0件

2017年度(平成29年度)の回答
 入居継続、新規入居とも0件


2.熊本県住宅課
質問
 
 2017年度(平成29年度)熊本県営住宅のDV被害者の目的外使用の運用状況(新規申込数、継続入居件数、退去件数)を教えて下さい。

昨年度の回答 
 平成28年度目的外使用許可件数(新規) 3件 ・平成27年度からの継続入居件数 0件 ・退去件数 1件 ・平成29年度で継続して入居中の件数2件

2017年度(平成29年度)の回答 
 平成29年度目的外使用許可件数(新規)3件 ・平成28年度からの継続入居件数2件 ・退去件数1件 ・平成29年度で継続して入居中の件数4件


3.熊本県子ども家庭福祉課
質問1

 平成29年度民間シェルター支援事業の運用状況(補助を受けた民間団体数、補助額)を教えて下さい。

昨年度の回答
 平成28年度実積 2団体に補助。

2017年度(平成29年度)の回答
 補助を受けた民間団体数 2団体  補助の額  2団体 合計111,388円


質問2
 熊本県内市町村自治体で、高齢者虐待・児童虐待等による被害者の一時保護施設を設けている自治体名、及び それらをDV被害者にも適用可能としている自治体名を教えてください。

2017年度(平成29年度)の回答
 要望(1)に記載のとおり。

 
4.熊本県精神保健福祉センター
質問

 DV加害者更生プログラムを今後実視していく予定はありませんか、また、平成29年度の精神科医や臨床心理士によるDV加害者カウンセリングの実施件数を教えてください。

昨年度の回答
 DV加害者更生プログラムは実施していない。DV加害者に対して必要に応じて電話相談、及び来所にて精神科医や臨床心理士によるDV加害者カウンセリングをおこなっている。 集団によるDV加害者更生プログラムを実施している民間団体をケースに応じて紹介している。

2017年度(平成29年度)の回答
 DV加害者更生プログラムの実施の予定はございませんが、今後も引き続き。DV加害者に対して必要に応じて電話相談のほか、来所いただいての個別のカウンセリングを行ってまいります。DV加害には精神疾患や依存症などの問題を抱えている場合もあり、個々に応じた対応を続けてまいります。
 なお、平成29年度DV加害者カウンセリング実数2件、電話相談5件


5.熊本県社会福祉課
質問

 平成29年度生活自立支援法に基づく一時保護された熊本県内の件数を教えてください。

昨年度の回答
 生活困窮に関する相談2497件(熊本市を除く)

2017年度(平成29年度)の回答
 平成29年度の一時生活支援事業の件数 県内57件


6.熊本県女性センター
質問

 平成29年度DV相談や一時保護された被害者のうち、男性の被害者、同性間のDV被害者、トランスジェンダーのDV被害者(または加害者)は何名いましたか。また、同性間のDV被害者やトランスジェンダー被害者からの相談や一時保護はどのような対応をなされていますか、

昨年度の回答
 口頭での回答(女性相談センター)

2017年度(平成29年度)の回答
 男性が被害者として相談のあったものは、12件。同性間のDV相談は、0件
 同性間のDV被害者等の相談も受けており、一時保護の対応もできる体制を整えている。


7.熊本地方法務局
質問

 2015年10月1日より、全国の法務省の人権擁護機関で、人身取引被害者(男性も含む)を対象とした緊急避難措置としての一時保護機能(宿泊施設など)の提供をおこなう運用が開始されていますが、平成29年度提供された件数を全国、熊本県内別に教えてください。

昨年度の回答
 集計していない。

2017年度(平成29年度)の回答
 件数などについては公表できない。


8.熊本県警察本部
質問

 平成29年のDV認知件数、一時保護依頼件数、加害者への警告件数、検挙件数、検挙件数うち被害者に被害届なしで検挙に至った件数、検挙件数のうち起訴された件数、検挙件数のうち再犯者の件数を教えて下さい。また、面前DVとして、児童相談所に通報した件数を教えてください。

昨年度の回答
 平成28年のDV認知件数 626件
 一時保護依頼件数      47件
 加害者への警告件数    468件
 加害者への検挙件数    165件(うち被害届なし7件)

2017年度(平成29年度)の回答
 平成29年のDV認知件数 485件
 一時保護依頼件数      35件
 加害者への警告件数    418件
 加害者への検挙件数     95件(保護命令違反1件、他法令94件)(うち被害届なし2件)
 面前DVでの児童通告人数  292人


要望

熊本県女性センター及熊本県子ども家庭福祉課
要望1
 熊本県内自治体で、障がい者虐待や高齢者虐待のための一時保護施設を持っている自治体に、DV被害者のための一時保護所への入所要件に該当しなかったり、DV被害者が入所を望まない場合に、一泊か、数日の短期間入所ができるようにして下さい。また、現存するステップハウスを、一時保護所に入所したDV被害者を対象とするだけでなく、入所しないDV被害者をも対象とするように運用を変えてください。

2017年度(平成29年度)の回答(障がい者支援課、認知症対策、地域ケア推進課)
 高齢者虐待及び障害者虐待のための一時保護施設を有している自治体はない。
 高齢者虐待については、「高齢者虐待防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき、虐待を受けている者を市町村が一時的に保護するよう義務付けられているが、障害者にも高齢者にも該当しないDV被害者には適用できない制度となっている。

2018年度の回答(県子ども家庭福祉課)
 現行のステップハウスは、一時保護後の居所確保などに困難を有する方への支援等として実施しているもの。一時保護を要さないDV被害者の居所確保といったニーズも理解できるが、予算確保など整理すべき課題も多いため、今後の検討課題としたい。     

    
要望2
 熊本県のDV相談窓口において、LGBTを含む性的マイノリティのDV被害者に適切な支援を提供できるような体制を整え、同性間のDVについても支援が受けられることをホームページ等で明記してください。     
    
2017年度(平成29年度)の回答(子ども家庭福祉課     
 LGBTを含む性的マイノリティのDV被害者の適切な支援体制については、多自治体等とも意見交換しながら取り組んでいくべきと考えており、できる分から順次対応を進めていきたい。

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