コムスタカ 結成25周年記念企画 ―多文化共生社会をめざして

約300名が参加した辛淑玉(しん すご)さん講演会の報告

 

2011年5月30日  中島 眞一郎(コムスタカー外国人と共に生きる会)

 

521日の講演会には、主催者の予想を超える300名近くの参加者がありました。

開演前の110分から、熊本在住のフイリピン女性とインドネシア人女性の二人の

インタビュウー映像と、熊本県内の縫製企業で働いていた中国人女性研修生の問題を

特集したビデオ映像を放映しました。開会のあいさつ後に、主催者を代表して私から、

「コムスタカの活動報告」をパワーポイントを使いながら20分ほど報告しました。

 その後、辛淑玉さんの講演が、100年前から100年後 − 在日100年の

流れの中に見る日本社会―」をテーマに90分間行われました。辛淑玉さんは、

講演の中で 在日コリアンの1世、2世、3世の具体的な人物を映像で紹介しながら、

この100年の中で、同化を強いて、外国人として生きることを排除する日本社会での差別

の現実や実態を、時には笑いを誘いながら、在日の目で見た日本社会のむごさやひどさを

浮き彫りにしていきました。講演後の質疑で4人の質問がありました。そして、

フイリピン人会・熊本のフイリピン女性、熊本障がい者労働センターの代表、

熊本学園大学東アジア共生コーヒー研究会の学生、脱原発アクション行動のよびかけなどの

アピールがあり午後4時すぎに閉会となりました。

 

今回の講演会の講師である辛淑玉さんには、事前に「一番話したいこと、

伝えたいことを90分で話して下さい」とお願いしていました。そして、講演内容が、とても素晴らしく、

きちんと筋を通して事実を伝える内容で、参加者の心に響いて、比較的多く(三分の一以上)参加していた

10代後半から20代の若い層も含めて、初めて聞く話で、インパクトは大きかったようです。

辛淑玉さん著書など書籍の販売も、多くの参加者が購入してくれました。

 

以下、約80枚ほど回収できたアンケートより、一部紹介します。

 

○「今まで、私が見てきた日本と異なる日本の姿を、今日初めてみました。辛さんのおっしゃった

「(在日一世)日本人がこわい。」「(在日)2世の死に場所がない(韓国にも、日本にも)」

「日本人になりすます生き方(を強いられる)」などすべての言葉が胸に刺さりました。

 

○東日本大震災での外国の方々の現状も初めて知りました。今の若者は、

感情を表すのが苦手問う言葉も心に残りました。

「共生とは、不愉快の人と共に生きていける社会」にはとても共感しました。

 

  質問の中で「若者に何を期待する?」に対する、辛さんの答が私はとても嬉しかった。

こんなに生きることが息苦しい社会にしておいて、「君たちの時代なのだからなんとかして」とか

「若い人たちの役割だから」なんていう言葉に、憤りを感じることがあったから。

 

○私自身差別の意識はない、しかし、今日の講演を聞いて、無知であったことに、無責任だと感じた。

こういった社会の問題に対して、無知無関心で或ることはおかしな社会を認め加担していることと同じだと反省した。

 

○ 「共に生きるとは、嫌な奴を排除しないこと、うーんそうか、いまその排除の感情に苦しんでいます。」

 

○来てよかったです、自分がどれだけ,自分の感情に向き合えるかから出発するんだと思いました。

それから他者や、社会に・・・ありがとうございました。

 

○在日の人が、日本でどんな思いを抱いて生きてきたのか、初めて実際の話を聞いて強く感じました。

日本の体制を変えなければならないと思いました。

 

○ 在日の人々へ無関心であった自分を恥じています。

 

○  辛さんのおっしゃった「不愉快な奴も一緒に生きれる国をつくる」という提言にはなるほどと思いました

自分の中の無意識な差別を考えるいい機会になりました。

 

○「自分の立つ位置を考えさせられた、ムカつくけど一緒に生きていこう、ムカつくやつが

多くてむかつくことが多くて、日常的にストレスを抱えているのだが、辛さんの力強さに背中を押され。

まっとうな第3者としての生き方をしていきたい」

 

○「どこかに正解がある」と探し始める自分の思考に改めて気づかされました。

その正解というのは、誰もケチをつけられない、答案で○がもらえる正解っていうのもの。

それを無意識に探し始めるよう慣らされていることに驚くのです

 

   被害者でも加害者でもない冷静な第三者という言葉。この話には響いた人が多かったのではないかと思うのです。

これも何か無意識にどちらかの立場に立たなければいけないと思わされている刷り込み。

選択は二つに一つしかないように思わされる。生きていく局面で、例えば、仕事の中で、

組織の中で、無邪気な質問たち。私の中で感じていた違和感が少し解消しました。

 

開催の趣旨

 

コムスタカー外国人と共に生きる会は、 1985年9月の「滞日アジア女性の問題を考える会」の結成、1993年4月からの「コムスタカー外国人と共に生きる会」への改称をへて、26年目を迎えています。コムスタカー外国人と共に生きる会結成25周年企画として、多文化共生社会をめざして、在日コリアンである辛淑玉(しんすご)さんの講演会を企画しました。「100年前から100年後 − 在日100年の流れの中に見る日本社会―」を講演のテーマに、在日外国人の歴史を振り返りながら、在日外国人への差別、移住(労働)者への差別の問題を考える場として企画しました。

 

日時   2011521()PM 1:30分開演

場所   熊本学園大学12号館 1221教室

参加費(資料代込)  前売り 1000円  当日 1200円  学生1000

主催  コムスタカー外国人と共に生きる会

 

コムスタカー外国人と共に生きる会結成25周年記念企画

多文化共生社会をめざして

「100年前から100年後」

−在日100年の流れの中に見る日本社会−

在日外国人の歴史を振り返りながら、今の移住(労働)者の差別の問題を考えていきます。

説明: しんすご講演者                      

(しん) ()()さん

◆プロフィール◆

1959年東京都生まれ。1985年に(株)香科舎を設立

し、人材育成コンサルタントとして活動。年間数多くの研修

や講演を行う傍ら、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等あらゆる

メディアで、論説活動を展開し構造的な弱者支援のための

活動を様々に実践している。主な著書に、『辛淑玉的危うい

ニッポン考』『辛淑玉的現代ニッポン考』(2010年七つ森書

館)『差別と日本人』(2009年 角川書店)、『悪あがきの

すすめ』(2007年 岩波新書)など著書多数がある。

日時20115/21()

開場1300 開演1330

会場:熊本学園大学 12号館 1221

熊本市大江2−5−1  バス(大江渡鹿下車)・JR(水前寺駅下車)など公共交通機関をご利用ください

参加費(資料代込)前売り1000円 当日1200

 学生1000

主催      コムスタカー外国人と共に生きる会

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