コムスタカ―外国人と共に生きる会

入管政策について


大村入国管理センターと移住労働者と共に生きるネットワーク九州との第2回意見交換会の報告
参考資料


大村入国管理センターについての質問と回答

大村入国管理センター所長殿       
    2005年10月11日

移住労働者と共に生きるネットワーク・九州
 連絡先 福岡市博多区美野島2-5-31 美野島司牧センター内
      (092-431-1419 Fax 092-431-5709)

共同代表 
  岩本光弘(北九州市・外国人と共に歩む会)
  コース・マルセル(福岡市・美野島司牧センター)
  塚田ともみ(鹿児島市・ATLAS)
  中島真一郎(熊本市・コムスタカ- 外国人と共に生きる会)

T 大村入国管理センターについての質問

 2004年9月8日に引き続き2回目となる移住労働者と共に生きるネットワーク九州と大村入国管理センターとの意見交換会が10月26日午後1時にひらかれることになりました。移住労働者とその家族の人権問題に取り組むNGOとの意見交換会をこころよく実現していただくことに感謝します。
 これまでの大村入国管理センターの概要やデータなどについては、大村入国センターでの最新の業務概況書の写しをいただきたいと思いますが、ご依頼のあった昨年と今年の状況について、以下のような質問項目を事前に提出させていただきます。

(1)収容施設の状況

@ 現時点(2005年9月末)での収容定員、収容人数、国籍別被収容者数(うち女性、及び未成年者)、九州外の入国管理センターなどから移送されてきた被収容者の人数を教えてください。

回答
 収容定員 800人、収容人数 2005年9月末現在99人(うち女性 60人)、国籍別被収容者数(うち女性、) 中国 74人(45人)、韓国 6名(4名)、タイ 4人(2人)、ミャンマー 4人(2人) その他 11名(3名)
 九州外の関東以北の在住の外国人で、東日本入国管理センターなどから移送されてきた被収容者が大半を占めている。

A 2004年及び2005年1−9月の平均収容期間、最長収容期間について教えてください。

回答
 平均収容期間  25日  最長収容期間 約1年

B 現時点(2005年9月末)で6ヶ月以上の長期被収容者の国籍別・性別人数について教えてください。

回答
 2名

C 長期被収容者の以下の理由別内訳数を教えてください。
    ア 日本国内に家族などがいるため帰国を拒否、
    イ 裁判係争中のため
    ウ 帰国予定国の受け入れ拒否のため帰国できない
    エ 帰国の為の旅費が工面できない、
    オ 難民認定申請中のため
    カ その他

回答
 回答を差し控えたい

D 2004年と2005年1-9月の収容施設内での、被収容者の自殺未遂(自傷行為)の件数は、何件ですか。

回答
 2004年      3件
 2005年1−9月  0件

E 2004年と2005年1-9月期間中に、仮放免が認められた人数とその理由別内訳
    ア 帰国準備の為
    イ 病気療養のため
    ウ 長期収容のため

回答
 回答を差し控えたい

F 仮放免が認められるときの保証金の金額はどの程度になりますか、また金額はどの基準で決められますか。

回答
 入管難民認定法第54条2項  300万円を上限として相当額となるので、個別の案件の基準なし

G 国費送還者は2004年及2005年1−9月の期間中何人いましたか。

回答
 2004年  16名  2005年1−9月 6人

H 被収容者からの苦情申し立ては、2004年及び2005年1−9月の期間中何件ありましたか。その苦情の内容の主なものはなんですか。

回答
 被収容者処遇規則に基づく不服申し立て制度 への申し立ては  0(ゼロ)

(2)職員体制について

@ 2005年度大村入国管理センター職員の総定員、部門別内訳、また、2005年度は前年度に比べてどの分野にどのぐらい増員がなされましたか。

回答
 総定員69名
 部門別内訳は回答できない
 前年度よりも減少している

A 2004年及び2005年1−9月入管職員の一人当たりの月平均残業時間はどれぐいになっていますか。

回答
 月平均  10時間程度

B 大村入国管理センターでの医療スタッフ(医師、看護士、薬剤師、その他)の内訳を教えてください。

回答
 医師(内科医  1名  月曜日 と木曜日の週2日 ) 歯科医師 1名( 火曜日と金曜日の週2日) 薬剤師 1名 (月、火、木、金曜日 の週4日) 看護士 2名  (常勤)  放射線技師 1名(金曜日 週1日)

C 長期の被収容者の中で、精神を病んでいる被収容者のケアはどのようになされていますか。

回答
 メンタルケアの専門家 臨床心理療法士1名 月2回(午後 )によるカウンセリングを実施している

(3)被収容者の処遇について

@ 被収容者1人当たり1日の経費はいくらかかりますか。

回答
 2004年は、被収容者の直接経費(食糧、クリーニング代など)が5500万円

A 同室内に平均何人同居することになりますか、国籍や言語などで配慮する人選は行われていますか。また、同室者によるトラブル(いじめやけんか)などがあったときに、申し出れば、配置換えなど配慮してもらえますか。

回答
 一部屋 10人が定員となっているが、一部屋平均6-8人が入居している。
 出身地、年齢、性別、喫煙の有無を考慮して同室者を選んでいる。また、本人の申し出により他の部屋に移ることは認めている。

(注)  大村入国管理センターには、一人部屋がこれまで設けられていないとのことですが、現在設けられるように本省と予算折衝をしているとのことでした。

B 運動時間、入浴、衣類の洗濯は、1週間にどのぐらい認められていますか。また、年末やお正月、ゴールデンウィークなど連続して休日が続く期間中にも、運動や入浴や洗濯は可能ですか。

回答
 運動時間( 土曜日、日曜日、休日を除く毎日 45分 毎日 年末年始、連休中はなし、1日のいつ行うかは、その日の職員の都合で変更されるとのこと)
 入浴  (土曜日、日曜日を除く毎日1回 午後2時から4時までの時間帯、年末年始、連休中も可能,  夏季は毎日)
 洗濯  (午前9時から午後5時まで設置されている自動洗濯機で、毎日可能)

C 被収容者の食事は、どのように供給されていますか、また栄養士はいますか。

回答
  大村入国管理センター内に厨房があり、その厨房を使って外部に業者に委託して食事は供給している。その業者に1日2200カロリーから3000カロリー以内で食事を創ってもらっている。栄養士がその委託した業者が依頼している。また、入管職員が検食している。食事は、宗教に配慮した特別食や、病人用の特別食など被収容者の状況に応じて供給している。

D 面会者は、年に総数で何人ぐらい被収容者と面会していますか。

回答
 2004年  延べ人数で412人

E 外部との手紙や電話の取扱いはどのようになっていますか。被収容者への外国語による手紙は、職員による内容チェックや翻訳なしで直接被収容者に渡してもらえるのですか。

回答
 日本語の受信物は、内容を職員がよみ、問題がなければ直ちに被収容者に渡している。
 外国語の受信物については、判読できる言語は職員が目を通した後に渡すので、数日かかることがある。職員で判読できない言語については、被収容者に渡した後、職員が本人に内容を聞いている。

F 被収容者と接する職員は、名札や個人名をつけていますか。また、被収容者に対して職員を「先生」と呼ぶように指導していますか。

回答
 名札はつけていないが、必要に応じて被収容者に職員が名乗るようにしている、
 また、職員を「先生」とよぶことはしていない。

G 被収容者の点呼、ボデイチェック、荷物検査などはどのぐらいの頻度で行われていますか。

回答
 点呼は、人員の確認や保安上の理由から毎日おこなっている。
 ボデイチェックや荷物検査は、入所時には必ず、その他所長が保安上必要を認めたときに随時行っている。

H 送還された被収容者が残した荷物の取扱いはどうなっていますか。

回答
 被収容者が不要とした物品は、適切に廃棄処分をしている。


大村入国管理センターへの要望書

大村入国管理センター所長殿       
    2005年10月26日

移住労働者と共に生きるネットワーク・九州
 連絡先 福岡市博多区美野島2-5-31 美野島司牧センター内
      (092-431-1419 Fax 092-431-5709)

共同代表 
  岩本光弘(北九州市・外国人と共に歩む会)
  コース・マルセル(福岡市・美野島司牧センター)
  塚田ともみ(鹿児島市・ATLAS)
  中島真一郎(熊本市・コムスタカ- 外国人と共に生きる会)

 以下の要望事項の実現を要請します。

※ ( )は、大村入国管理センターの担当者による要望事項への反応及び回答です。

要望1、窓ガラスでの仕切りのない家族面会室を設置してください。

回答 子どもの拉致ということがあった。保安上の問題がなければ検討してみてもいいが・・・・。また、大村収容所が以前の古い建物の時、面会室には仕切りがなく、抱き合ったり、神父が直接頭に手を置いて、祝福したり、ギターを持ち込んで、ミサのように一緒に歌ったり祈ったりということができて、収容者に精神的によい結果をもたらした。ミサや祝福ができるよう、仕切り版のない部屋を設定してほしいとの要望に対して可能かどうか検討する。また、家族の面会についても他の入国管理センターの状況も調査して、設置できるか検討する)

要望2、6ヶ月以上の長期収容者について、仮放免を実施し、在宅で暮らせるようにしてください。

仮放免について 人権上の配慮といわれても、仮放免の理由がない人もいる。ただ日本におりたいなど。 他の入国管理センターの状況も踏まえ、本省とも協議して仮放免の運用のあり方検討する。)
国費送還について 今年から、柔軟に対応するようになっている。長期収容は、我々も避けたい。国費送還が全国に知れ渡ると、外国人がそれを悪用して金を全部、本国に送り、日本の国費で帰ろうとする人もでるだろう。国費送還を、日本の国民が納得するだろうか?原則として集団の国費送還はあっても、個人の国費送還は想定していない)

要望3、弁当中心の食事を改善し、給食を実施してください。

回答 センター内に厨房があり、外部の業者に委託して給食を実施しており、被収容者の状況や要望も考慮して食事を作っている。)

要望4、被収容者と接する職員にも名札をつけ、外国語ができる職員を配置してください。

回答 名札はつけていないが、必要に応じて名前を名乗るようにしている中国語と英語については職員で対応できる者がいる。)

要望5、同室者とのトラブルの際に、被収容者からの要望があればすみやに部屋をかえる等の対応をおこなってください。

回答 被収容者の要望があれば、速やかに対応するようにしている。単独房はない。今、要請しているが、予算の関係でまだ)

要望6、医者に診察をうけるときや相談するとき、通訳者が必要な場合には通訳者をつけてください。また、外部の医療機関へ審査や検査を被収容者が希望するときにはできるだけ外部の医療機関で、診察や検査が受けられるようにしてください。

回答 通訳者をつけるようにしている。現状では、被収容者の多くが日本語で会話が可能な者が多い、また、内部の担当医で対応できない場合には、外部の大村市立病院で治療や検査など受けられるようにしている。)

要望7、被収容者との面会時間を現在の平日午後4時までを、午後5時までに延長してほしい。また、平日に休みが取れない面会者のために月1−2回でも土曜日か日曜日に面会が出来るようにしてほしい

回答 要望として、承っておく。)

     面会室でのやり取りを録音しているのかとの質問に対して

回答 録音はしていない)

要望8、女性の収容部屋については女性の監視員を配置してください。

回答 これまでも女性の担当職員を置いている、)

要望9、運動(屋外の運動場に出られる)時間をもう少し長くしてください。

要望10、冬場には、支給される寝具だけでは足りないので、せめて体調を崩すことのないように厚めの寝具や毛布の枚数を増やすなどの配慮をしてください。

回答 空調の温度には、配慮しており、冬季や急に寒くなったときには、毛布を一人当たり10枚程度支給している)

要望11、郵便物等、できるだけすみやかに本人にお渡しください。

回答 日本語で書かれて送られてきたものは、その日に職員が読んですぐに渡すようにしている。)


表1 1990年−2004年 大村入国管理センター国籍別入所者数
総数
中国
ベトナム
韓国・朝鮮
フィリピン
1990年
1235
1277
4
1991年
201
112
88
1992年
589
326
263
1993年
721
311
410
1994年
790
403
387
1995年
947
637
81
1996年
742
639
22
1997年
1894
1835
2
1998年
1366
1315
1
1999年
1756
1699
2
2000年
1301
1242
0
21
14
2001年
1815
1454
1
81
60
2002年
1203
1066
61
9
2003年
1384
1194
56
16
2004年
1387
1146
112
36

出典『平成14年8月 業務概況書  入国者収容所 大村入国管理センター』『平成17年10月 業務概況書  入国者収容所 大村入国管理センター』及び 『第40〜第43(平成13年、14年、15年度、16年度) 出入国管理統計年報』(法務大臣官房司法法制調査会)より作成注)―(不明--0人か、人数が少ないため、その他に分類されて国籍別の数が不明)

表2  過去5年間における入・出所人員
年別
入所者数
出所者数
1日あたりの収容人員
収容延べ人数
2000年
1301
1436
119.2
43634
2001年
1815
1698
184.1
67189
2002年
1203
1297
152.4
55633
2003年
1384
1407
166.0
60586
2004年
1387
1476
141.5
51778

出典 『平成17年10月 業務概況書  入国者収容所 大村入国管理センター』より作成

表3 最近6年間(1999年―2004年)の収容所別入所人員の変遷
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
総数 (人)
5545
5537
7260
4518
5373
8287
大村入国管理センター
1756
1301
1815
1203
1384
1387
中国
1699
1246
1458
1066
1194
1146
韓国・朝鮮
2
21
81
61
56
112
フィリピン
0
14
60
9
16
36
タイ
0
6
61
18
8
26
パキスタン
38
0
10
0
1
5
その他
17
14
145
49
109
62
西日本入国管理センター
2369
2022
2661
1696
2229
2090
中国
802
686
972
762
1112
787
韓国・朝鮮
798
581
579
330
337
305
フィリピン
145
154
247
148
249
322
タイ
201
135
175
85
53
32
パキスタン
18
15
21
11
26
18
その他
405
451
671
360
452
626
東日本入国管理センター
1420
2214
2780
1619
1760
4810
中国
431
559
864
553
831
2415
韓国・朝鮮
266
329
305
186
144
614
フィリピン
148
227
273
156
135
439
タイ
177
309
145
86
53
174
パキスタン
21
66
111
35
48
その他
377
578
1082
603
1120

出典 1999年版(平成11年)『第38出入国管理統計年報』(法務大臣官房司法法制調査会編)〜2004年版(平成16年)『第44出入国管理統計年報』より作成