コムスタカ―外国人と共に生きる会

入管政策について


大村入国管理センターと移住労働者と共に生きるネットワーク九州との第2回意見交換会の報告
中島真一郎
2005年11月16日

1、はじめに

昨年9月8日の第1回意見交換会に引き続き2回目となる大村入国管理センターと移住労働者と共に生きるネットワーク九州との意見交換会が、2005年10月26日(水)午後1時から開かれました。ネットワーク九州より13名(北九州1名、福岡6名、熊本3名、長崎3名)が参加しました。大村入国管理センターより4名(総務課長、総務課係長、首席入国警備官と統括入国警備官)が出席しました。

最初に大村入国管理センターの1階・2階部分を統括入国警備官の案内で見学しました。 被収容者のいる3階の見学はできませんでしたが、4ブロックある一つの運動場で、丁度運動時間となりバスケットボールやランニングしている被収容者7−8名の姿を見ることができました。その後午後1時50分から午後3時30分頃まで意見交換会を2階会議室で行いました。応対した総務課長、係長とも今年4月からの就任で昨年と交代していました。

第1回目であった昨年が、入国管理センターから、「ここは、退去強制令書が発付されてから退去強制されるまで留め置く施設で刑務所とはちがうこと、いかに被収容者の人権を尊重した施設や運営をしている」という説明に終始した印象がありました。しかし、2回目の今年は、質問書(1施設の状況,2職員体制 3 被収容者の処遇 の27項目)を事前に提出していたこともあり、入国管理センターが外国人の拘禁施設であることを前提に質問していましたので、それに対する回答も、一部回答できないという回答もありましたが大筋丁寧で、意見交換会も相当突っ込んだやり取りができました。また、ネットワーク九州から提出した11項目の被収容者の処遇に対する要望事項についても、聞き置くという態度ではなく、改善できるところは受け止めていこうという姿勢が感じられました。

2、大村入国管理センターの収容状況について  

大村入国管理センターは、収容定員800名と入管の収容施設としては日本最大規模ですが、廃止論が出てきても不思議でないほどその機能を失ってきている印象を受けました。 被収容者は2004年9月300名、2005年5月に130名ほどいましたが、今年10月は99名とさらに収容人数が減少していることや、職員も昨年より減少していること、2005年9月末現在の収容人数は99名(うち女性60名)、職員数は69名です。

国籍別では中国74名(45)、韓国6名(6)、タイ4名(4)ミャンマー2名(2)、その他11名(3名)その大半を中国籍が占めていること、全体の6割が女性が占めていることが特色です。これらの被収容者の大半が、本来東日本入国管理センターで収容すべき関東以北に在住していた外国人が占め、大村入国管理センターの担当領域である西日本(中国・四国・九州)在住の外国人は少ないこと、これまで大村入国管理センターが受け入れていた主に中国からの集団送還者が近年ほぼなくなってきたことが明らかになりました。

 6ヶ月以上の長期収容者は現在2名と少なく、旅券を持たないため、帰国の為の領事館などから渡航書を発行してもらう期間(3週間程度 平均収容期間は25日)収容されて退去強制される外国人が大半を占めていることなどが明らかになりました。 つまり、大村入国管理センターは、本来の収容能力の1−2割程度の機能しか使用されておらず、東日本地区の収容施設の能力を超えた外国人のための施設となっており、九州(大村市)に存在している意味をなくしてきています。

仮放免が許可されたのは、2004年5人、2005年(1−9月)2人で、その理由は「回答できない」という回答でしたが、その多くは、帰国準備の為の仮放免と思われます。平均収容期間は、25日、最長収容期間は1年という回答で、6ヶ月以上の長期収容が2005年9月現在2名ということでした。国費送還者は、2004年16名、2005年1−9月6名という回答でした。(昨年より、国費送還の予算額も増額され、以前に比べて国費送還の運用がしやすくなった)大村入国管理センターの被収容者への面会者の年間延べ人数は412名と、1日平均1.1人、(年間約250日の面会可能日で換算しても、1.6人)と2人以下という少なさです。

3、意見交換会

意見交換会で、「『大村入管が廃止されるのでは』という噂があるが、現状ではそれも全く根拠のない話とはいえないのではないか」という意見に対して、入管職員の反論として「1996年に現在の施設を新しく建設したばかりなので、廃止の話はない。現時点ではご指摘のような問題があるもしれないが、将来国際情勢の変化などにより大量の収容すべき外国人が発生することもありえるかもしれないので、そのためには必要」とのことでした。

次に、長期収容者の人権問題、とりわけ日本人配偶者等の家族がいる被収容者で、裁判係争中や在留特別許可の再審請求中のケースなどについては仮放免を積極的に認めるようにも求めました。この問題に対しては、入国管理センター側の回答は、帰国準備や感染性の病気治療以外認めたことがないという2年前の姿勢から、昨年は裁判係争中の長期収容者のケースがあることをはじめて認めましたが、今年は、「仮放免はセンター所長の裁量といわれるが、東日本、西日本、大村の3つの入国管理センターで、バラツキがあるのも問題なので本省とも協議して一定の基準を示していく必要がある。ただ帰国したくないと言うケースは別にして、日本人配偶者や家族などがいるケースなどについては、仮放免の運用についてご意見を踏まえて本省とも協議して検討していきたい」という、抽象的ではありましたが前向きな回答でした。

4、要望書について

要望11項目の一つにある、窓ガラスの敷居のない部屋での家族の面会室の設置について、 被収容者どうしの夫婦や家族の面会ができる部屋があることはみとめましたが、外部の家族と敷居のない部屋での面会は、『過去、外部の家族との面会時に、子どもを離さず釈放を要求する事件がおきたことがあったこと』などを理由に大村入国管理センターではこれ認めていないということでした。東日本入国管理センターでは、外部の家族との面会が認められていること、窓ガラス越しでない面会の実現を望む被収容者の要望が強いことを説明しました。大村入国管理センターの回答として、現在8つある面会室(そのうち3つが書類の出し入れができる穴があいている)の1室を改造し、窓ガラスのない面会も行うことができるかもしれない、他の入国管理センターの状況や被収容者の状況も判断して検討してみるということでした。また、2004年の面会者は、延べ412人と1日平均2名以下という少ない現状も明らかになりました。面会時間の延長や休日での面会の実施なども要望しました。

意見交換会の後、参加者は、それぞれ相談を受け支援している被収容者4名の面会を行い、午後5時前に解散しました。

コメント   中島  真一郎

私にとって、2002年(国会議員の視察に同席)、2004年に続いて3回目の大村入国管理センターとの意見交換会でしたが、被収容者の状況の変化、入管行政を取り巻く状況の変化や、NGOとの対応の変化がみられ、今回はそれなりの手ごたえがありました。

「大村入管廃止」の噂は、実は大村市内の道路沿いにある「大村法務局廃止反対」の看板を面会者の方が見間違えて知らされたものでしたが、意見交換会で知らされた大村入国管理センターの運用の実情は、九州内の長崎県大村市に設置し続ける意味がないと思えるものでした。財政再建や国家公務員の削減という国策の流れのなかで法務省管轄の施設の統廃合や職員の削減も進められています。現在の大村入国管理センターが、関東以北在住の外国人のための東日本入国管理センターの余剰人員を収容する施設という運用実態は、 コスト面や費用対策効果という点から無駄です。

2003年12月からの政府の「不法滞在者の5年間半減計画」により、関東地方で大量の外国人の摘発が進められ、東日本入国管理センターの入所人員は2003年1716人から4810人と約2.7倍に増加しています。(2003年と2004年の入所人員は、大村入国管理センター は、1384人から1387人と微増、西日本入国管理センターは、2229人から2090人139人減少しています)。

現在の政策的に強化されている東京入管内での在留資格のない外国人への摘発が平常に戻り、帰国費用を持たない外国人に対する国費送還の予算が増額され、長期収容者への仮放免の運用を弾力化すれば、大村入国管理センターでの外国人の収容は必要なくなります。また、将来の国際情勢の変化による大量の難民の発生や収容すべき外国人が増大したときに備える施設として必要という反論も、そうであるならば拘禁―収容施設としての機能から難民の保護や定住支援センターとしての機能に転換すべきものと思います。むろん、大村入国管理センターは、全国の入管施設のなかで、「入管発祥の地」ともいえる象徴的な存在ですから、「廃止」論は「夢物語」に思えるかもしれませんが、それが現実的根拠があることがわかったことは大きな意味がありました。